解決事例
- 2021.04.23
- 同性パートナーが安心して生活できる法的サポート(遺言・任意後見)
ご状況
30代の女性同士のパートナーの方からのご相談です。
最近は多様性尊重の観点から、いわゆるLGBTQsに対する行政の対応が進行しており、同性パートナーシップ制度(同性同士のカップルを証明する制度)を導入する自治体が増えています。
しかし、パートナーシップ制度は民法上の婚姻制度とは全く別のものです。
婚姻関係にある異性間では当然に発生する法的権利・義務は同性間においては発生せず、残念なことに何もしなければ法的は他人のままです。
ご相談にいらしたお二人は健康に暮らしている現在は特に不自由を感じてはいないものの、万が一どちらかが病気になったり、亡くなったりしたときに、異性間での婚姻関係での相続のようにスムーズに財産の移動が行われる状態にしておきたいと思い相談にいらっしゃいました。
当事務所からのご提案&お手伝い
1.パートナーシップ契約書(準婚姻契約書)の作成
婚姻をすることにより当然に発生する権利義務を契約によって発生させるものです。
同居、扶養、扶助の義務や、婚姻費用の分担、財産分与、他の人との婚姻禁止などです。
さらに、療養看護に関する委任や、亡くなった後の手続きの委任なども盛り込みました。
2.遺言書の作成
相談者(Aさん、Bさん)はAさんの持ち家に同居しています。
もしAさんが亡くなると、自宅は法定相続人に承継されることになり、Bさんは生活の本拠地を失うことになります。
そこで、相互に全財産を相手方に遺贈する内容の遺言書を作成することを提案しました。
遺言執行者も相互に指定し、法定相続人の関与なしに遺言の内容を実現できるようにしました。
遺留分侵害額請求を受ける可能性を排除することはできませんが、法定相続人の理解を得られるよう付言事項として、それぞれの思いを書いてもらいました。
3.任意後見契約書の作成
どちらか一方が認知症になったり怪我や病気で身動きがとれなくなった場合に備えて、予めお互いを後見人とする任意後見契約書を作成することを提案しました。
任意後見契約は移行型とし、元気なうちでも、相互に財産管理ができるようにしました。
結果
ご相談者は、幸いなことにお互いの家族や友人の理解が得られており、周りから祝福されてパートナーとして生活していました。
しかし、万が一の時に残されたパートナーの生活はどうなってしまうのだろうという漠然とした不安を抱えていました。
残念なことに現在の日本の法律では同性間のパートナーについて異性間と同様の婚姻は法的には認められていません。
そこで当事務所にご相談頂いたことで、起こりうるリスクを知り、それに対する対策を立てることができ、とても感謝して頂きました。
提案した契約書は、全て公正証書で作成したので、まるで婚姻届けを提出したような気分になれたそうです。
当事務所も証人として立会いましたので、おふたりの晴れやかな笑顔に感動しました。
相談者一人一人の人生がよりよくなるための手助けをして感謝して頂けることは、生前対策サポートに携わる者としてこれに勝る喜びはありません。
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